5.貸金業規制法改正の影響(上限金利の引き下げ)
2006年の貸金業規制法改正における最大の焦点は、かねてから問題となっていたグレーゾーン金利の原因である出資法の上限金利をどこまで引き下げるかということでした。基本的に利息制限法の上限に合わせ20%となることは明確でしたが、段階的に行うのか一気に20%まで下げるのか、例外規定を設けるのかということが改正の焦点となりました。
貸金業界としてはもちろん段階的な引き下げを望んでいたのですが、大手貸金業者の業務停止問題が大きく影響したのか、結果としては2010年には上限を20%として例外も設けないこととなりました。早急に金利の引き下げを行うことが多重債務者の防止につながり、消費者を保護することになると判断されたのです。
金利の引き下げと総量規制による年収の1/3までの貸付限度により、消費者金融業界における業者のメリットは少なくなり、外資系の企業は消費者金融部門を売却することも検討しています(2007.11にはGEコンシューマーがレイク売却の入札を発表し、アコム・プロミスが関心を示しています)。
貸金業界全体の利益が圧縮され結果として業界再編成の動きを加速している一方、消費者に与える影響はどうでしょうか。
金利を引き下げれば消費者にとってメリットがあるだろうと考えるのは当然のことです。年利で10%下がることで支払利息は大幅に軽減されます。単純計算ですが100万円の借入残高があれば年間10万円(月8300円)も支払いが軽減されます。
しかしこれはすでに借入を受けている人のメリットです。これから借入する人はどうでしょうか?もちろん新規であっても審査が通り貸付を受ければ低金利のメリットは得られますが、問題はその審査です。
消費者金融業者の中には法施行を待たずに前倒しで金利の引き下げを実行しているところがあります。当然のことですが金利を引き下げた場合には審査基準が厳しくなります。結果として契約成約率が低下していることが現実に起こっています。
今までは金利がある程度高かったため消費者金融業者は貸し倒れのリスクを補うことができました。金利引き下げでリスクを考え審査基準を上げることは企業として当然のことといえます。
しかし、そのためはじき出され審査基準を外れることになった客層は低金利のメリットを受ける前に借入することすらできなくなってしまいました。
金利引き下げによる影響は貸金業者だけではなく、本来メリット受けるべき消費者にもデメリットを与えているのが現状です。